抄録
目的:in vivoでのヒアルロン酸の標的遺伝子の探求.
対象:変形性関節症ラットの膝関節軟骨.
方法:膝関節にヨード酢酸を投与した変形性関節症のラットに,高分子ヒアルロン酸を関節内注射して,軟骨細胞でのヒアルロン酸応答遺伝子をDNA microarray法にて解析した.
結果:高分子ヒアルロン酸は,関節症により低下したⅣ,Ⅸ,XI型コラーゲンおよび抗炎症因子であるadrenomedullinの遺伝子発現を回復させ,逆に関節症で亢進した数種類の炎症関連因子(phospholipase A2,Toll-like receptor 8など)の遺伝子発現を抑制した.
結論:変形性関節症の軟骨において,高分子ヒアルロン酸の関節内注射は,コラーゲン,抗炎症因子,炎症関連因子などの遺伝子発現を制御することにより病態に影響することが示唆された.