臨床リウマチ
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原著
関節リウマチに対するエタネルセプト用量別有効性 ~25mg隔週から50mg週投与まで~
小寺 隆雄
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2014 年 26 巻 2 号 p. 108-113

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抄録

目的:エタネルセプト(ETN)は投与間隔や投与量など様々な方法で使用されている薬剤であるが,特に週25mg未満の用量で使用した場合の有用性については報告がない.当院では患者の年齢,合併症,疾患活動性等に応じてETNを25mg隔週投与から50mg毎週投与まで様々な投与方法で使用しており,ETNの投与量別,少量から増量した際の有効性を後向きに検討した.
方法:解析1:2010年2月以降にETNを開始後24週以上経過し解析可能な40例につき隔週25mg・週25mg・週50mgの3群の有効性を検討した.解析2:2010年2月以前に隔週25mgで開始し効果不十分なため増量を行った6例について増量の有効性を検討した.
結果:解析1:隔週25mg群において年齢が高く(p=0.006),罹病期間が長く,タクロリムスの併用が多い傾向にあった.ETN投与後のDAS28-CRP値の推移は,隔週25mg群(投与前3.76→24週後2.61),週25mg群(投与前4.02→24週後2.28),週50mg群(投与前3.80→24週後2.49)と各群での有効性の差は認めなかった.解析2:増量前のDAS28-CRP4.28から増量52週後には3.16まで改善した.
結論:本研究は後ろ向き研究でありETNの用量選択には強いバイアスがかかっており,各群の単純な有効性の比較は本来できないものであるが,高齢,長期罹病患者を選択し,DMARDの併用をしっかり行えば,25mg隔週投与でも低疾患活動性の導入が可能な場合があり,効果不十分な場合には増量も有用である可能性がある.

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© 2014 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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