臨床リウマチ
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原著
関節リウマチに対するエタネルセプトの治療成績
林 淳慈
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2014 年 26 巻 2 号 p. 101-107

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抄録
   目的:当科におけるエタネルセプトの治療成績および成績に関与する因子を検討したので報告する.
   対象・方法:エタネルセプトを用い治療を行い,1年以上経過した関節リウマチ患者40例を対象とした.平均年齢は58.8歳,平均罹病期間は9.7年であった.MTX,ステロイド使用率は80%と62.5%であり,平均エタネルセプト使用期間は3.6年(0.3~7.7年)であった.以上の症例に対し,エタネルセプトの継続率と中止理由,疾患活動性の推移,EULARの改善基準,開始時と最終経過観察時のDAS28,mHAQ-DI,CRP,MMP-3の変化を調査した.さらに最終経過観察時に低疾患活動性以下を達成した群と達成群できなかった群に症例を分け,関連する因子を解析した.
   結果:継続率はKaplan-Meier法で87.0%であった.最終経過観察時には高疾患活動性12.5%,中等度疾患活動性35.0%,低疾患活動性17.5%,寛解35.0%であった.DAS28,mHAQ-DI,CRP,MMP-3は最終経過観察時には有意に改善していた.低疾患活動性以下を達成した群ではエタネルセプト開始時のステロイド使用率,使用量が少ない傾向にあり,開始後6か月時のDAS28,EULAR改善基準,MMP-3においても2群間に有意差が認められた.
   結論:エタネルセプトは二次無効,有害事象が少なく継続率が高い生物学的製剤であるが,ステロイド併用例には無効例が多いことを理解し,薬剤変更は投与6か月程度まで待ち,DAS28に加え,MMP-3の値も参考にすることが望ましいと推察された.
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© 2014 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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