臨床リウマチ
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26 巻 , 2 号
臨床リウマチ
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Editor's Eye
誌説
総説
  • 西小森 隆太, 中川 権史, 粟屋 美絵, 河合 朋樹, 八角 高裕, 平家 俊男
    2014 年 26 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
       自己炎症性疾患は,炎症病態を主病態とする遺伝性疾患である.自己炎症性疾患の原因遺伝子として自然免疫系特にパターン認識受容体及びその関連遺伝子が報告されている.臨床的には原因不明発熱,関節炎・関節痛,発疹等を特徴とし,慢性疾患としての経過をとることが多く,リウマチ・膠原病専門医が遭遇する事も多い疾患である.本総説では,自己炎症性疾患の本邦の特徴を記述するとともに,その問題点を整理した.また,本邦の自己炎症性疾患の問題点を解決するために平成24年度に採択された厚労省難治性疾患克服研究事業,“自己炎症疾患およびその類縁疾患に対する診療基盤の確立”研究班の概略を述べ,自己炎症性疾患診療におけるunmet needsの解消に向けた今後の対策について言及した.
原著
  • 松下 功, 元村 拓, 関 英子, 木村 友厚
    2014 年 26 巻 2 号 p. 88-93
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
        関節リウマチ(RA)患者の大関節を詳細に評価可能なARASHIスコアリングシステムを用い,TNF阻害療法を行った患者の股関節と膝関節のX線画像の変化を経時的に評価した.RA51症例の182関節を検討すると,ARASHI statusスコアが3点以上の股関節・膝関節は,TNF阻害療法を行っていたにもかかわらず,ARASHI changeスコアが2年までに2点以上進行していた.股関節・膝関節のARASHI statusスコアはその後の関節破壊の進行を予測し得るスコアであり,関節破壊進行を阻止するためにはstatusスコアが低い段階でTNF阻害療法を開始する必要があると考えられた.
  • 安倍 千之, 松原 司, 松野 博明, 青野 浩之
    2014 年 26 巻 2 号 p. 94-100
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    目的:関節リウマチ(RA)治療における低用量での3剤併用療法の作用機序の解析を試みた.抗リウマチ剤のサラゾスルファピリジン(SASP),ブシラミン(Bc),メソトレキセート(MTX)の3剤である.
    対象・方法:関節炎モデルであるMRL/lマウスに3剤を投与し,臨床的,病理学的に解析し,その有効性をすでに報告した.今回は3剤投与前後で16のサイトカインを測定した.同時に29例のRA症例のサイトカインを0から12ケ月まで,3ケ月ごとに経時的に解析した.
    結果:血中のIL-1β,IL-2,IL-6,IL-13,TNF-α,IFN-γが3剤で抑制された.
    結論:3剤併用療法は多標的療法multi-target therapyである.また,3剤は多標的抗リウマチ剤multi-target anti-rheumatic drugs(MTARDs)と呼ぶことができよう.
  • 林 淳慈
    2014 年 26 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
       目的:当科におけるエタネルセプトの治療成績および成績に関与する因子を検討したので報告する.
       対象・方法:エタネルセプトを用い治療を行い,1年以上経過した関節リウマチ患者40例を対象とした.平均年齢は58.8歳,平均罹病期間は9.7年であった.MTX,ステロイド使用率は80%と62.5%であり,平均エタネルセプト使用期間は3.6年(0.3~7.7年)であった.以上の症例に対し,エタネルセプトの継続率と中止理由,疾患活動性の推移,EULARの改善基準,開始時と最終経過観察時のDAS28,mHAQ-DI,CRP,MMP-3の変化を調査した.さらに最終経過観察時に低疾患活動性以下を達成した群と達成群できなかった群に症例を分け,関連する因子を解析した.
       結果:継続率はKaplan-Meier法で87.0%であった.最終経過観察時には高疾患活動性12.5%,中等度疾患活動性35.0%,低疾患活動性17.5%,寛解35.0%であった.DAS28,mHAQ-DI,CRP,MMP-3は最終経過観察時には有意に改善していた.低疾患活動性以下を達成した群ではエタネルセプト開始時のステロイド使用率,使用量が少ない傾向にあり,開始後6か月時のDAS28,EULAR改善基準,MMP-3においても2群間に有意差が認められた.
       結論:エタネルセプトは二次無効,有害事象が少なく継続率が高い生物学的製剤であるが,ステロイド併用例には無効例が多いことを理解し,薬剤変更は投与6か月程度まで待ち,DAS28に加え,MMP-3の値も参考にすることが望ましいと推察された.
  • 小寺 隆雄
    2014 年 26 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    目的:エタネルセプト(ETN)は投与間隔や投与量など様々な方法で使用されている薬剤であるが,特に週25mg未満の用量で使用した場合の有用性については報告がない.当院では患者の年齢,合併症,疾患活動性等に応じてETNを25mg隔週投与から50mg毎週投与まで様々な投与方法で使用しており,ETNの投与量別,少量から増量した際の有効性を後向きに検討した.
    方法:解析1:2010年2月以降にETNを開始後24週以上経過し解析可能な40例につき隔週25mg・週25mg・週50mgの3群の有効性を検討した.解析2:2010年2月以前に隔週25mgで開始し効果不十分なため増量を行った6例について増量の有効性を検討した.
    結果:解析1:隔週25mg群において年齢が高く(p=0.006),罹病期間が長く,タクロリムスの併用が多い傾向にあった.ETN投与後のDAS28-CRP値の推移は,隔週25mg群(投与前3.76→24週後2.61),週25mg群(投与前4.02→24週後2.28),週50mg群(投与前3.80→24週後2.49)と各群での有効性の差は認めなかった.解析2:増量前のDAS28-CRP4.28から増量52週後には3.16まで改善した.
    結論:本研究は後ろ向き研究でありETNの用量選択には強いバイアスがかかっており,各群の単純な有効性の比較は本来できないものであるが,高齢,長期罹病患者を選択し,DMARDの併用をしっかり行えば,25mg隔週投与でも低疾患活動性の導入が可能な場合があり,効果不十分な場合には増量も有用である可能性がある.
  • 中崎 聡, 村山 隆司, 加藤 真一
    2014 年 26 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    目的:関節リウマチ(RA)症例でTNF阻害剤からスイッチする際に,別のTNF阻害剤であるエタネルセプト(ETN)と非TNF阻害剤であるトシリズマブ(TCZ)で有効性の差異があるかどうか検討した.
    対象・方法:生物学的製剤の第1選択薬としてインフリキシマブ(IFX)が投与され,第2選択薬としてTCZまたはETNを使用したRA症例とした.TCZ(21名)またはETN(47名)投与開始から12カ月後まで3カ月毎にCDAI,SDAI,DAS28(CRP)を評価した.
    結果:IFX中止理由は,TCZ群とETN群でそれぞれ,一次無効48%と34%,二次無効24%と23%,有害事象19%と26%であった.12か月後の継続率はTCZ群が76.2%でETN群が85.1%であり,有意差はなかった.背景因子では,ETN群に比べてTCZ群でCRPが有意に低かった.TCZ群もETN群も全評価項目がいずれの評価時点でも開始時に比べて有意に低下していた.CDAI,SDAIとDAS28(CRP)では全体としてETN群とTCZ群において両群間に有意の差はなかった.
    結論:TNF阻害剤であるIFXからのスイッチ症例において,同じTNF阻害剤であるETNであってもIL-6阻害剤であるTCZであってもともに有効であり,両群間に有効性の差はなかった.
  • 佐藤 正夫, 竹村 正男, 四戸 隆基
    2014 年 26 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    目的:生物学的製剤の使用で関節リウマチ(RA)患者のquality of lifeは向上した.しかし,皮下注生物学的製剤の注射時痛を強く訴える患者が存在する.今回,皮下注射製剤の注射時痛を検討した.
    対象・方法:エタネルセプト(ETN),アダリムマブ(ADA),ゴリムマブ(GOL)を1剤以上使用したことのあるRA患者123例を対象とし,痛みのVASスケールを用いて注射時痛を評価した.
    結果:VAS値(中央値,IQR)はETN(41,22-55),ADA(59,30-82),GOL(35,27-41)であった.対照として評価したインフルエンザワクチンのVAS値で除した値(中央値)はETN:1.140,ADA:1.627,GOL:0.949で,GOLの注射時痛が有意に低かった.約2/3の症例で注射針の刺入時よりも薬液注入時の痛みを不快に感じると回答した.
    結論:“痛み”の数値化には患者個人間でのばらつきが存在するが,注射時痛は薬剤間で有意な差がみられた.
  • 茂呂 貴知
    2014 年 26 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    目的:ゴリムマブ(GLM),アダリムマブ(ADA)およびエタネルセプト(ETN)皮下注射時の疼痛を,インフルエンザワクチン(Flu)接種時の疼痛と比較することにより数値化し,その数値を利用してバイオ製剤同士の疼痛を比較した.
    対象・方法:対象はGLM群6例,ADA群5例,ETN群17例.当科外来において,Flu接種と同日にバイオ製剤の投与を行い,Flu接種時痛を1としてバイオ製剤の注射時痛が何倍(何割増)であったかを質問した.Fluの2倍程度痛みが強い場合を「2」,2割程度痛みが強い場合を「1.2」のように表現した.「薬液注入時痛」と「針刺入時痛」をわけて評価した.
    結果:薬液注入時痛はADA群平均6.10,ETN群平均2.21,GLM群平均1.30であった.ADA群が他の2群に対して有意差を持って薬液注入時痛が強かった.針刺入時痛はADA群とGLM群は平均1.00,ETN群は平均1.04であった.針刺入時痛は3製剤間に有意差はなかった.
    結論:ADAの薬液注入時痛が強かった原因として,ADA薬液中にバッファーとしてクエン酸ナトリウムが含まれていること,ADA薬液量が0.8mlと他の2剤(0.5ml)よりも多いことなどが考えられた.
  • 磯村 達也, 村上 亜弥, 犬塚 恭子, 川口 美佳, 佐藤 恵美子, 中村 郁朗, 岡 寛, KP White, 西岡 健弥
    2014 年 26 巻 2 号 p. 130-136
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2015/03/30
    ジャーナル フリー
    目的:London Fibromyalgia Epidemiology Study Screening Questionnaire (LFESSQ)は6問からなる英語の質問票で,一般集団を対象とした疫学研究において,線維筋痛症患者をスクリーニングするためにWhite KPらによって開発された.LEFSSQを日本の臨床現場に導入するため,言語的妥当性を担保した日本語版を作成した.
    方法:日本語版の作成は,開発許可を取得後,言語的な妥当性を担保した翻訳版の開発において標準的に用いられる手順(①順翻訳,②逆翻訳,③パイロット調査)に沿って実施した.この手順を通し,原作と同等の内容が反映された,日本人にとってより自然な文章表現である翻訳を目指した.内容の同等性については,適宜,原作者に確認した.
    結果:①順翻訳:日本語を母国語とする2名の翻訳者が,それぞれ日本語に翻訳し,協議を通して一つの翻訳案を作成した.②逆翻訳:英語を母国語とする独立した翻訳者が,英語に逆翻訳した.その後,原作者や専門医との協議を経て,日本語暫定版を作成した.③パイロット調査:6名の日本人成人男女を対象に面接調査を行い,結果を踏まえ,日本語暫定版の文章表現の妥当性を検討した.参加者は,6名中4名が女性,平均年齢は50.0歳であった.調査の結果,質問票の分かりやすさ,及び表現や内容の正確な理解は,全体として問題はなかった.
    結論:一連の作成手順と検討を通し,言語的妥当性を担保した日本語版LFESSQを作成した.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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