抄録
自己炎症性疾患は,炎症病態を主病態とする遺伝性疾患である.自己炎症性疾患の原因遺伝子として自然免疫系特にパターン認識受容体及びその関連遺伝子が報告されている.臨床的には原因不明発熱,関節炎・関節痛,発疹等を特徴とし,慢性疾患としての経過をとることが多く,リウマチ・膠原病専門医が遭遇する事も多い疾患である.本総説では,自己炎症性疾患の本邦の特徴を記述するとともに,その問題点を整理した.また,本邦の自己炎症性疾患の問題点を解決するために平成24年度に採択された厚労省難治性疾患克服研究事業,“自己炎症疾患およびその類縁疾患に対する診療基盤の確立”研究班の概略を述べ,自己炎症性疾患診療におけるunmet needsの解消に向けた今後の対策について言及した.