臨床リウマチ
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総説
強直性脊椎炎から軸性脊椎関節炎へ
浦野 房三
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2014 年 26 巻 3 号 p. 154-160

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抄録

   脊椎関節炎の本態は付着部炎であると言われている.今回,脊椎関節炎の中核である軸性脊椎関節炎を取り上げた.この疼痛病態が心因性,あるいは精神医学的疾患と誤診されていることが多く,有病率は高いにもかかわらず,通常の医療を受けられていない症例が極めて多い.我が国の報告では藤田らが和歌山県上富田町において,脊椎関節炎の有病率は0.2%であり,同地区のRAの有病率(0.2%)と同等であったと報告している.
   2009年には仙腸関節のMRI所見を加えて,軸性脊椎関節炎(axial spondyloarthritis:axial SpA)分類基準が導入され,2011年には末梢性脊椎関節炎(peripheral spondyloarthritis:pSpA)の分類基準が提唱された.
   この両分類基準を使うことにより,病態認識が早期に可能となり,有効な治療が期待できる.特にMRIによる病態の認識は,生物学的製剤の投与に踏み切るスタンダードとなる.X線学的に強直性脊椎炎と診断される以前にnon radiographic axial spondyloarthritis(nr-Ax SpA)と診断されることはwindows of opportunityと認識され,生物学的製剤の効果が期待できる期間とも考えられる.仙腸関節のX線診断による強直性脊椎炎の時代から新たな段階にパラダイムシフトしたと言える.

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© 2014 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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