2015 年 27 巻 1 号 p. 45-50
目的:関節エコー所見と滑膜病理所見を比較して,その関連を明らかにすること.
対象・方法:対象は人工膝関節置換術を施行した23例(23関節)である.術前該当する膝関節のエコー検査を行い,グレイスケール(GS)とパワードップラー(PD)法により滑膜炎を評価した.その膝関節から術中採取した滑膜組織から組織標本を作製し,HE染色および第VIII因子の免疫染色により病理組織学的に評価し,関節エコー所見との関連を調べた.
結果:関節エコーによるPD信号は,病理組織による滑膜炎所見と相関していた.また,免疫染色で評価した血管増生に対するPD信号の感度は91%(10/11),特異度は58%(7/12)であった.
結論:関節エコーのPD所見陽性は,病理組織所見でみられる活動性の高い滑膜炎と関連していたが,PD所見陰性であっても中等度以上の組織学的な血管増生を認める関節が存在していた.