2016 年 28 巻 2 号 p. 106-120
関節リウマチ(RA)に対する抗リウマチ薬(DMARD)治療の進展により患者のQOLや生命予後は大きく改善した.特に生物学的製剤治療の貢献は大きい.一方,DMARD治療中に見られる結核,非結核性抗酸菌症(NTM症),ニューモシスチス肺炎(PCP)などの感染症の合併とRA関連間質性疾患(RA-ILD)の増悪がリウマチ医の新たな懸念となっている.それにもかかわらず,DMARD導入時のリスク判定や予防対策,治療開始後の早期発見・治療に関して,エビデンスに基づいたガイドラインはない.RA-ILDの増悪は自然経過なのかDMARDの影響によるのか?DMARD導入時及びフォローアップ時に予後因子としてチェックするものは何か?潜在性結核感染症の診断と治療はどのようにすべきか?DMARD治療中の結核発症の早期診断はどのようにすべきか?DMARD治療中に発症するPCPとHIV陽性者のPCPとの違いは何か?PCPが重篤化する前に発見することは可能か?院内でのアウトブレークは防げるのか?RAに特徴的な気管支拡張症や細気管支炎とNTM症に関連はあるのか?肺NTM症疑い患者のDMARD治療中のマネージメントはどうするのか?今回の総説では,DMARD治療の現場で直面する上記の問題を解説し,その対処法について議論する.