臨床リウマチ
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原著
DMARDs効果不十分の関節リウマチ症例に対する低用量タクロリムスの有効性
黒瀬 理恵田中 大石橋 恭之
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2016 年 28 巻 3 号 p. 204-211

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抄録

   目的:メトトレキサート(MTX)を含む疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)で効果不十分な関節リウマチ(RA)症例に対する低用量タクロリムスの有効性について検討した.
   対象・方法:DMARDsに対して抵抗性あるいは不耐性を示すため低用量タクロリムスを追加したRA47例のうち2年以上低用量を維持していた40例を対象とした.タクロリムス投与開始量は1.0–1.5 mg/日で,臨床反応によって増減した.評価にはDAS28-CRP(4)とEuropean League Against Rheumatism (EULAR) response criteria,血清MMP-3値,modified Total Sharp Score (mTSS)を用いた.
   結果:ベースラインでのタクロリムス平均投与量は1.2 mg/日であった.DAS28-CRP(4)はタクロリムス投与後6ヵ月で有意に改善し,投与2年で21例(53%)がEULAR criteriaに示す寛解あるいは低疾患活動性を示したが,11例(27.5%)はno responseであった.血清MMP-3値はタクロリムス投与後6ヵ月で有意に減少した.ΔmTSS≦0.5での構造的寛解率はfirst yearで37.5%,second yearで52.5%であった.
   結論:DMARDs効果不十分のRA症例に対する低用量タクロリムスの併用は,投与6ヵ月以降で疾患活動性を抑制するとともに,関節破壊を抑制する効果も期待できる.

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© 2016 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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