2016 年 28 巻 3 号 p. 197-203
目的:Methotrexate (MTX)で効果不十分の長期罹患の関節リウマチ(RA)患者を対象とし,tacrolimus,mizoribineを追加併用した3剤併用群(S群)と生物学的製剤(Biological DMARDs : Bio)を併用したBio追加群(B群)の臨床成績と関節破壊抑制効果を比較検討した.
対象・方法:疾患活動性の評価はDAS28CRPを用い,その推移と改善率を評価し比較検討した.関節破壊抑制効果については単純レントゲンを用い,小関節の評価ではΔmodified Total Sharp Score(ΔmTSS),大関節においてはARASHI change scoreを用い比較検討した.さらに,継続率と中止に至る理由を調査した.
結果:2群の患者背景は同等であった.治療開始後1ヵ月後にB群の疾患活動性はS群に比し有意に抑制されたが,3ヵ月以降は2群間に差を認めなかった.関節破壊進行抑制効果について,ARASHI change scoreは2群間で差を認めなかったが,S群のΔmTSSはB群より有意に高かった.副作用は両群共に重篤なものはなかったが,副作用中止例がS群(16%)において,B群(4.3%)より多かった.
結論:3剤併用療法は安価であり経済的には魅力的は選択肢であるが,小関節破壊の進行と副作用の発現に注意を要する.