臨床リウマチ
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原著
腎障害を合併する関節リウマチ患者におけるMatrix metalloproteinase-3 / Creatinine比の有用性
中村 明彦河口 宏美内田 知沙中川 由香中田 淳子小寺 亮
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2016 年 28 巻 3 号 p. 212-219

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抄録

目的:血清Matrix metalloproteinase-3(MMP-3)濃度は関節リウマチ(RA)の疾患活動性の指標の一つである.血清MMP-3濃度は腎機能低下症例で上昇すると報告されているが,そのメカニズムの詳細は不明である.そこで,我々は血清MMP-3濃度に対する腎障害の影響,疾患活動性の指標としての妥当性を検討,血清MMP-3濃度の補正を試みた.
対象・方法:推算糸球体ろ過量(eGFR)60ml/min/1.73㎡未満を腎障害とし,RA患者332例(腎障害66例)と非RA患者307例(腎障害63例)を対象に横断的研究を行った.血清MMP-3濃度やMMP-3 / Cr比(血清MMP-3濃度を血清Cr濃度で除した値)とCRPやDAS-28-CRPとの関係を腎障害の有無で検討した.
結果:血清MMP-3濃度はRAの有無や性別にかかわらずeGFRと負の相関を示した.RA患者における血清MMP-3濃度とMMP-3 / Cr比は,男女ともに血清CRP濃度やDAS28-CRPと正の相関を示した.血清CRP濃度やDAS28-CRPに対する血清MMP-3濃度の分散は腎障害のあるRAで有意に高値を示したが,MMP-3 / Cr比の分散は腎障害の有無で一致していた.さらに血清MMP-3濃度の上昇には男性,eGFR低値,CRP高値,DAS28-CRP高値,Steroid投与が有意な独立因子であったが,MMP-3 / Cr比の上昇にはeGFRが独立因子から除外された.
結論:腎障害を合併するRA患者において,血清MMP-3濃度は炎症や疾患活動性に依存せず上昇している.腎障害を合併するRA患者の炎症や疾患活動性の評価にMMP-3 / Cr比は簡便かつ有用な指標と考えられる.

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© 2016 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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