2017 年 29 巻 1 号 p. 22-28
目的:我々は先行研究で糖尿病(DM)が関節リウマチにおける生物学的製剤(BIO)治療の継続率に影響すると報告しており,本研究は詳しく比較検討した.
対象・方法:BIO治療を導入した245例を対象とした.BIO開始時にDMに医療介入されていなかった群(GN:215例)とされていた群(GD:30例)とに分けて比較検討した.
結果:開始時患者背景(GN/GD)では,平均年齢(57 歳/65歳),RF陽性率(77%/93%),抗CCP抗体陽性率(87%/100%),eGFR(93/78),PSL投与率(53%/83%),MTX投与率(86%/60%)は群間有意差を認めた.SDAI(25.4/27.9),mHAQ(0.8/1.0)は開始時に有意差はなかったが,最終観察時のSDAI(5.64/12.7),mHAQ(0.46/0.69)は有意差を認めた.BIO治療の1年,3年,5年の継続率はGNで90.5%,83.6%,75.2%GDで76.0%,68.9%,41.3%であり有意差を認めた.中止理由として感染,心血管イベントによる中止がGDに多かった.
結論:GDの患者背景は腎機能が悪く,PSL投与率が高く,MTX投与率が低いなど,治療阻害因子が多い.GDは感染や心血管イベントによりBIO継続率も悪く,最終観察時における疾患活動性も高かった.BIO治療開始時のDMの有無は,BIO治療の予測因子となりうる.