2017 年 29 巻 1 号 p. 29-35
目的:関節リウマチ(RA)は一般人口に比べ骨塩量が低く,また治療介入をしても骨塩量は増加しにくいと言われている.そこで骨粗鬆症を併存するRA患者と非RA患者における治療介入後1年間の骨塩量変化を比較した.さらにRA患者における疾患活動性やグルココルチコイド(GC)使用の有無が与える影響を検討した.
対象と方法:骨粗鬆症診断基準2012年改訂版を満たす骨粗鬆症に対して,ビスフォスホネート,テリパラチド,デノスマブで治療介入されたRA 38例,非RA 24例が対象.本研究は後ろ向き研究で行われ,骨塩量は治療開始時と1年後にdual energy X-ray absorptiometry(DXA)を用いて大腿骨頸部,腰椎の2部位を測定し,1年間の骨塩量変化をpaired t検定で検討した.
結果:RA群,非RA群ともに大腿骨頸部骨塩量は有意な増加を認めなかったが,腰椎骨塩量は有意な増加を認めた(RA群: p <0.001,非RA群: p <0.001).RA群の腰椎骨塩量は,治療開始時の疾患活動性が,寛解群と低疾患活動性群では有意な増加を認めなかったが,中疾患活動性群14例と高疾患活動性群13例では有意な増加を認めた(p<0.001).RA群のうち,GC使用群19例,GC非使用群19例ともに,大腿骨頸部骨塩量は有意な増加を認めなかったが,腰椎骨塩量は有意な増加を認めた(GC使用群: p<0.001,GC非使用群: p=0.03).
考察:RA,非RAともに腰椎で骨塩量は有意に増加を認めた.RAにおいては疾患活動性が高くても,GC使用下であっても,腰椎骨塩量を増加せしめた.