臨床リウマチ
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IgG4関連疾患の病因―分子生物学的アプローチ―
坪井 洋人飯塚 麻菜高橋 広行浅島 弘充廣田 智哉近藤 裕也中井 雄治阿部 啓子田中 昭彦森山 雅文中村 誠司吉原 俊雄松本 功住田 孝之
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2017 年 29 巻 2 号 p. 128-139

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抄録

目的:IgG4関連疾患(IgG4-RD)とシェーグレン症候群(SS)の遺伝子発現を網羅的に比較し,疾患関連分子を明らかにする.
方法:IgG4-RD(N=5),SS(N=5),健常人(HC)(N=3)の口唇唾液腺(LSG)を用いてDNAマイクロアレイを行った.遺伝子発現パターンを主成分分析(PCA)で比較し,IgG4-RDとSSのペアワイズの比較から,発現変動遺伝子(DEG)を同定した.IgG4-RDで高発現していたDEGの中から,validation候補遺伝子を抽出し,定量PCR,免疫蛍光法によるタンパクレベルでの発現解析を行った.
結果:PCAでは,IgG4-RD,SS,HCは互いに異なるクラスターを形成した.IgG4-RDで相対的に高発現していたDEGを1321個,SSで相対的に高発現していたDEGを1320個同定した.定量PCRにおいて,リンパ球のケモタキシス,線維化誘導に関わるCCL18,ミルクに含まれ樹状細胞の成熟を誘導するLTFは,SSと比較してIgG4-RDのLSGで有意に高発現していた.IgG4-RDのLSGでは,SS・HCと比較して,CCL18のタンパクレベルでの高発現を認め,発現細胞はマクロファージ,樹状細胞,B細胞,形質細胞であった.
結論:IgG4-RDとSSの遺伝子発現パターンは異なり,IgG4-RDの疾患関連分子としてCCL18,LTFを見出した.

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© 2017 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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