臨床リウマチ
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IgG4関連疾患に対する治療:前方視的臨床研究を中心に
正木 康史藤本 信乃河南(岩男) 悠坂井 知之河南 崇典藤田 義正川端 浩福島 俊洋
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2017 年 29 巻 2 号 p. 140-146

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抄録

目的:IgG4関連疾患にはステロイドが有効だがエビデンスが無かったため,多施設共同前方視的治療研究にて検証した.
方法:12施設より症例登録を受け,初発IgG4関連疾患包括診断基準確診例を対象とした.中等量ステロイドprednisolone 0.6mg/kg/日を初期投与量とし,2週間毎に10%漸減,その後は各主治医判断で症状や臨床データの推移から維持量を決定した.1年後の完全寛解率を主要評価項目とし,副次評価項目としてはステロイド維持量,再発再燃率,有害事象を観察した.
結果:5年間で57例の登録予定であったが,4年間で61例の登録あり終了.臨床病理中央診断の結果,確診群は44例,準確診1例,疑診13例,否定3例であった.3例の脱落例を認めた.確診群では完全寛解29例(65.9%),全奏功率93.2%で,脱落以外の全例にステロイドが奏功した.維持投与量中央値は7mg/dayで,維持投与量中に6例(14.6%)の再増悪を認めステロイド再増量又はその他の薬剤の追加投与を要した.主な有害事象は耐糖能異常(41%)であった.
結論:IgG4関連疾患の診断が確実であれば,初期のステロイドは有効である.ステロイド治療抵抗例に対する二次治療として,欧米ではrituximabが汎用されているが,ステロイド治療抵抗例には誤診例が多いため,画像検査や病理再生検など再評価が必要である.

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© 2017 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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