臨床リウマチ
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原著
生物学的製剤使用中の関節リウマチ患者の疼痛症状,機能障害,精神心理的問題の関係性─心理社会的側面評価の重要性─
島原 範芳内山 裕貴上甲 雄太郎赤松 和紀澤田 直哉田中 由紀中尾 聡志
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2018 年 30 巻 3 号 p. 154-165

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抄録

目的:生物学的製剤使用中であっても愁訴を有する患者に影響しているとされる破局的思考は患者の悲観的,受動的行動,抑うつを惹起する要因であり,治療効果にも影響を及ぼすとされる10).今回,生物学的製剤(biological DMARDs:b-DMARDs)により治療目標である寛解,もしくは低疾患活動性を達成したrheumatoid arthritis(RA)患者の疼痛症状,機能障害,精神心理的問題について調査し比較検討を行うとともにそれらの関係性について検討したので報告する.

対象・方法:当院に通院継続中の女性RA患者14名(平均年齢59.71±4.61歳).評価項目は,疾患活動性をsimplified disease activity index(SDAI),疼痛強度をvisual analogue scale(VAS),機能障害をpain disability assessement scale(PDAS),health assessment questionnaire(HAQ),ロコモ25.精神心理状態をpain catastrophizing scale(PCS),hospital anxiety and depression scale(HADS),tamper scale forkinesiophobia(TSK),pain self efficacy questionnnaire(PSEQ),general self-efficacy scale(GSES).その他の評価としてeuroqol 5 dimntion(EQ-5D)を用いた.

結果:b-DMARDs使用中にて在宅生活を維持出来ている患者の中にも,強い破局的思考に苛まれている患者が存在した.心理情動的問題においては反芻,無力感,不安,運動恐怖が強かった.また習慣性無力感や痛みに対する自己効力感は疾患活動性や疼痛強度よりも機能障害との関係性を示した.

結論:RA患者の評価介入の際には,疾患活動性や疼痛強度と機能障害および日常生活動作の関連性だけでなく,破局的思考など心理社会的側面の痛みや患者の行動様式への影響も十分に考慮し,患者がfear-avoidanceに陥ることを予防することが重要である.

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© 2018 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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