森林総合研究所研究報告
Online ISSN : 2189-9363
Print ISSN : 0916-4405
ISSN-L : 0916-4405
論文
京都府南部の山城試験地 (YMS) 流域における 2000–2004 年度の水質モニタリング—森林降水渓流水質データベースとの比較から明らかになった水質の特徴—
金子 真司古澤 仁美岡本 透 玉井 幸治平野 恭弘
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
電子付録

2023 年 22 巻 2 号 p. 51-72

詳細
抄録

京都府南部の山城試験地 (YMS) において2000年4月~2005年1月の期間、降雨、林内雨、樹幹流、A0通過水、土壌浸透水、湧水、渓流水の水質を調査した。さらに調査結果を森林総合研究所の森林降水渓流水質データベースのデータと比較して、YMSの水質の特徴を明らかにした。YMSでは全国の観測地と同様の酸性度の降雨が降っており、溶存無機態窒素および非海塩性硫酸イオンの濃度は全国の平均的な値であった。また林内雨や樹幹流では他の観測地に比べてpHおよび全カチオンに占めるK+割合が高く、林内雨ではpHおよびK+濃度が着葉期に高く落葉期に低い季節変動が認められた。A0層通過水は酸性で溶存有機炭素 (DOC) 、Ca2+、NO3-濃度が高かった。土壌浸透水もDOC、Ca2+、NO3-濃度が高かったが、土壌深度の増加にともなうDOC濃度の低下は認められなかった。渓流水では他の観測地に比べてECがやや高く、NO3-やそのほかイオン濃度が全般に高かった。YMSでは温暖で降水量が少ないために蒸発散によって溶存成分が濃縮されていると推察した。NO3-濃度に関しては、流域内の枯損木から窒素の供給に加えて京阪神地域の人口密集地からの窒素化合物の流入が影響していると考えられた。

著者関連情報
© 2023 森林総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top