2018 年 30 巻 4 号 p. 288-292
平成28年4月14日,熊本で地震が発生し,兵庫県薬剤師会,災害・公衆衛生部は,災害時支援薬剤師を熊本県益城町と南阿蘇に派遣した.兵庫県薬剤師会では災害の基礎知識他,災害時に多職種と共通認識をもって機動的に対応できるように研修を修了した246名を災時支援薬剤師として登録している.益城町にある保健福祉センターで活動したJMAT兵庫は今回統括チームであったため,保健福祉センターの救護所や巡回チームの調剤は,センター内に設置された大分県所持のモバイルファーマシー(移動薬局車両)を,日本薬剤師会派遣の薬剤師が運営しており,JMATの薬剤師は統括チームとモバイルファーマシーとを調整する役割を求められ,医師,歯科医師,看護師はもとより,保健師,栄養士,行政職員など他職種と連携し,被災地のニーズへ対応した.指定外避難所で,血糖測定用のチップがないという連絡がボランティアナースよりあり,JMATチームと一緒に指定外避難所アセスメントを行った.全国各地から送られてきた支援物資はJA倉庫に入れられていたが,実際の避難者がどういった物資を必要としているかを,保健福祉センターで支援をしている益城町職員,保健師,栄養士などに聞き取りを行い,兵庫県医師会に物資の要望を出した.その他DVT対策,公衆衛生活動,OTC対応など,調剤以外の業務も含め,多職種の連携の必要性が改めて認識されており,平時での申し合わせや研修などの準備も必要と感じた.