2018 年 30 巻 4 号 p. 293-299
目的:過去の取り組みから災害リハビリテーション(以下,リハ)支援におけるリハビリ専門家の役割について報告する.
方法:2011年に発生した東日本大震災の災害支援のために,多くのリハ関連団体が協働した.その災害リハ支援活動を継続するために,大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team: JRAT)が設立された.JRATはリハ専門職を対象とした全国研修会を開催し,各都道府県にJRAT組織を創設したことで全国各地での災害リハ支援が可能となった.
結果:JRATの支援対象は,特別な配慮を必要とする「CWAP: Children Woman Aged people Patients」と呼ばれる乳幼児,女性,高齢者,患者である.JRATは2016年の熊本地震において,避難しているCWAPの活動性を向上させることが,廃用症候群やエコノミークラス症候群などの新たな疾病の発生を予防できると考えた.そこでJRATは各地で避難所の環境改善を提案し,虚弱高齢者へは床からの立ち上がり方法を教えると同時に,活動性向上のために歩行運動や下肢運動を指導した.
結論:近年,リハ専門職による災害支援チームの組織化が進んだ.これからもJRATは災害リハビリ研修を通して人材を育成し,災害時には被災者の役に立ちたいと考えている.