2019 年 31 巻 1 号 p. 68-74
自己炎症疾患(autoinflammatory disease)は,感染などの微生物の関与がなく,周期熱,関節炎,皮疹などを呈する疾患で,自己抗体,自己反応性T細胞の関与を認めない炎症性疾患である.自己炎症疾患は,生体防御に必要な自然免疫系の異常によって発症すると考えられている.獲得免疫の異常で発症し自己抗体,自己反応性T細胞を認める自己免疫疾患にくらべ対照的であるが,これら2つの疾患は症状も類似している.最も有病率の高い遺伝性自己炎症疾患である家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever; FMF)では,周期性発熱に加え,漿膜炎(胸膜炎・腹膜炎),関節炎,様々な皮膚病変を認め,治療介入が遅れるとアミロイドA(AA)アミロイドーシスによる臓器障害を併発することもある.これら稀少難病において医療上の必要性が高いにもかかわらず,治験の困難さ,市場規模が小さいこともあり,治療薬の開発が十分に進まない現状があったが,近年,IL-1をはじめとするサイトカインに対する分子標的治療ですぐれた治療効果が得られることが判ってきた.