2019 年 31 巻 1 号 p. 75-84
キャッスルマン病(Castleman disease: CD)は,1956年にキャッスルマンらが報告したリンパ節の病理組織像にて特徴づけられる非常に稀な非腫瘍性リンパ増殖性疾患である.CDの臨床症状は無症候性から重篤なものまであり,進行スピードも緩徐から急速なものまであることから,本疾患の病態は極めてヘテロである.病理組織学的には,hyaline vascular(HV)type, plasma cell(PC)type, mixed typeに分類されるが,臨床的にはリンパ節腫脹の限局した単中心性キャッスルマン病(unicentric CD: UCD)と多中心性キャッスルマン病(multicentric CD: MCD)に分類される.UCDの大部分はHV typeで構成され,腫瘤の外科的切除にて根治も期待される.一方,MCDの大部分はPC typeで構成され,著明な全身症状と多臓器病変を伴い,治療にも難渋することが多い.MCDの中で,ウイルス感染などの見られない原因不明のものを特発性MCD(iMCD)と呼ぶが,本邦でも2018年に指定難病の一つとして新たに加わった.
本稿では,CDの病因・病態,さらにはiMCDを中心にその診断ならびに活動性評価についての最新情報について解説する.iMCDの治療としては,ステロイドや抗癌剤による化学療法が行われてきたが,効果不十分な場合もしばしば見られる.ただ,iMCDでIL-6が病態の中心的役割を果たすことが判明し,IL-6阻害薬がfront-line therapyとして国内外にて使用されるようになり治療が進歩した.また一方で,IL-6阻害薬を含む既存治療へ抵抗性の症例も未だ多く存在する.CDは稀少疾患のため学問的進歩も遅れていたが,近年の国際的共同研究の成果にて,本疾患の病態解明とそれに基づいた新たな治療戦略が提案されつつあり,こういった点についても解説する.