臨床リウマチ
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総説
関節リウマチの画像診断
松下 功
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2019 年 31 巻 2 号 p. 88-97

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抄録

 現在,関節リウマチ(RA)の実臨床に用いられている画像検査は,単純X線検査,関節超音波検査そしてMRIである.単純X線写真ではポケット状骨びらん,関節裂隙の狭小化などが確認できる.Modified total Sharp scoreは,初期の微細な変化の評価に有用であるが,対象は小関節に限られている.大関節の評価にはLarsen gradeが広く使用されているが,微細な変化を読み解くことはできない.ARASHI scoring systemはより詳細に大関節破壊を評価でき,今後活用されることが望まれる.

 超音波検査は滑膜の炎症と骨病変を同時に評価可能な強力なツールである.微細な滑膜病変をとらえることができるため,RAの超早期診断において有用である.関節超音波所見を2010ACR/EULAR分類基準のスコアリングに用いることで,分類不能関節炎を高率にRAと分類できることが報告されている.超音波検査におけるパワードプラシグナルが残存する場合は,関節破壊が生じやすいことなどが確認されている.

 MRIは滑膜炎,骨浸食(骨びらん)および骨炎(骨髄浮腫)の抽出に優れている.MRIでは単純X線写真に比して約3倍骨侵食が検出されたとの報告もある.MRIにおける骨炎の所見はX線検査や関節超音波検査では捉えることができないMRI特有の重要な所見である.MRIにおける骨炎は境界不明瞭な異常信号として認められ造影効果を示す.2010ACR/EULARの分類基準に骨炎所見を加えると,早期にRAと診断できるとの報告もある.またMRIにおける骨炎は骨侵食の前駆状態と考えられている.

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© 2019 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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