2019 年 31 巻 2 号 p. 98-103
目的:関節リウマチ(RA)患者において骨密度を長期で追跡した報告は少ない.baselineと10年以上経過後の骨密度および臨床データを解析し,その特徴を検討した.方法:当院においてリウマチ教育入院をしたRA患者の中で,入院時と10年以上経過後に腰椎および股関節の骨密度を測定できた36例を対象とした.Baselineとfollow-up時の患者背景,臨床データを調査し,腰椎YAM値5%以上増加した増加群(n =21)と増加が5%未満であった非増加群(n =15)を比較検討した.結果:年齢は中央値60.5歳,罹病期間は9.5年で,平均follow-up期間は10.4年であった.骨密度(YAM値)の中央値は,腰椎では81.2%から91.0%に増加し,股関節では80.6%から77.0%に低下していた.単変量解析では,増加群でbaselineの年齢が高いこととステロイド投与量が少ないことが抽出されたが,生物学的製剤使用の有無は関連しなかった.多変量解析では,骨吸収抑制薬介入のみが増加群において有意に高率であった.結論:RA患者における長期の骨密度変化を調査した.長期間の腰椎骨密度増加には,適切な骨粗鬆治療介入が必要である.