臨床リウマチ
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原著
専門医不在地区における病診連携によるRA診療
近藤 正宏村川 洋子森山 繭子本田 学渡辺 洋平柿丸 裕之吹譯 靖子八本 久仁子平野 秀美智原 久美子満田 佳織森川 紀子
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2019 年 31 巻 3 号 p. 195-203

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抄録

 関節リウマチ(RA)治療は劇的に変化し,早期から適切な治療介入を行うことで,関節破壊はもとより,機能予後,生命予後も著明に改善した.しかしRAを早期に診断することはしばしば困難であり,また抗リウマチ剤の投与にあたっては感染症,合併症に十分注意する必要があり,以前と異なり一般かかりつけ医のみでは治療が困難な疾患になっている.そのためRA専門医を中心とした治療を行う必要があるが,RA患者数に対して専門医数は不足しており,遠方まで専門医を求めて通院している患者,適切な治療を受けることができていない患者は少なくない.そこで,専門医不在地区である島根県浜田市の浜田医療センターでRA専門外来を開設するにあたって,地元かかりつけ医との病診連携での治療を開始することとした.浜田医療センターでの病診連携では,専門医は診断,感染症など全身状態の評価,治療法の選択など専門性の高い部分のみを担当し,その他の副作用チェック,DMARDの用量調節,軽微な感染症への対応などはかかりつけ医が担当する.こうした役割分担を行なった上で,治療開始後すぐに病診連携を開始し並行して診療していくことで,専門医はより多くの患者を診察することができ,かかりつけ医がRAの診療に慣れることで,RAの早期発見にも繋がっていた.また連携で診療している患者の方がむしろ重篤な感染症の発症が少ないなど,RAの病診連携には様々なメリットがあることがわかった.

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© 2019 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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