2020 年 32 巻 1 号 p. 6-12
2012年に関節リウマチを含む炎症性関節炎患者の管理における看護師の役割についてのEULARリコメンデーションが発表され,各国で実践を促す努力が行われたが,リコメンデーションに対する合意レベルは高いものの実践が十分でないことが示されていた.
今回,より高いレベルのエビデンスと新たな知見を組み入れた2018年改訂版が発表された.改訂版では,前回にはなかったOverarching principleが追加され,リウマチ看護師はヘルスケアチームの一員であること,エビデンスに基づくケアを行うべきであること,そして,リウマチ看護は患者との共同意思決定に基づくこと,の3項目が明記されている.
リコメンデーションは8項目で,最初の3項目は患者の観点から,残り5項目は看護師の観点から表現されている.患者は病気の全経過中,知識の習得や疾患管理などニーズに応じた支援について看護師に相談することが推奨され,遠隔医療も含まれる.また,看護師は,総合的な疾患管理への参画だけでなく,患者が自己管理技術を習得し自己効力感を高められるように心理社会面を含め支援を行うこと,さらに,看護師自身の知識や技術の維持向上のために継続的なリウマチ専門教育を受け,より幅広い役割を担うことが求められている.改訂版のEULARリコメンデーションが多岐に渡るリウマチ看護の指針となり幅広く実践されるよう望まれる.