臨床リウマチ
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原著
高齢発症関節リウマチに対するセルトリズマブペゴル早期治療の有用性
長谷川 絵理子黒澤 陽一小林 大介伊藤 聡阿部 麻美大谷 博中園 清村澤 章石川 肇成田 一衛
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2020 年 32 巻 2 号 p. 114-122

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抄録

目的:高齢発症関節リウマチ(EORA)は発症時の疾患活動性が高く,内科的合併症も多いことから治療が困難となりやすい.セルトリズマブペゴル(CZP)はC-OPERA試験では発症早期症例に対する有用性が示されたが,比較的若年者(平均年齢49.4歳)での検討であり高齢発症例での検証はなされていない.EORAにおけるCZP早期治療の有用性を検討する.

対象・方法:65歳以上のEORA患者で抗リウマチ薬開始から3ヶ月以内にCZP投与を開始した14例(男性9例,年齢77.5(71.5-83.0)歳)を対象とした.診療録を後方視的に調査し開始時,開始後4週,12週,24週における臨床項目を評価した.

結果:CZP開始時の罹病期間は3(2-4)ヶ月,抗リウマチ薬開始からの期間は17.5(13.3-23.0)日だった.MTX併用は3例,PSL使用量は5.0(1.25-5.0)mg/日,併存症として間質性肺炎を2例,糖尿病を6例,慢性腎臓病を5例認めた.CZP治療開始前に比し,治療開始後4週で,DAS28-ESR(5.5(4.9-6.3)vs. 3.4(2.5-4.1),p=0.001),HAQ-DI(1.3(0.7-2.0)vs. 0.1(0-0.7),p=0.001)は有意に低下した.24週以内に2例が二次無効のため他剤に変更となった.

結論:CZPは高齢者においても発症早期における治療として疾患活動性の改善と生活機能の改善に有用であった.

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© 2020 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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