2020 年 32 巻 2 号 p. 123-131
【目的】関節リウマチ(RA)における患者疼痛の上昇と関連する臨床指標を統計学的に検討した.
【方法】2010年8月以降5年以上継続してtreat to targetに基づき治療を行ったRA患者を対象とした.3カ月に一度臨床指標を測定し,治療開始後1年以内の患者疼痛スコア(PS)が10mm未満となった群(PS-VAS寛解群)を抽出し,初診時,治療開始1年目,2年目以降における両群間の指標を統計学的に比較した.更に,2年目以降のPSが10mm以上となった群(G-PRf),10mm未満のまま維持出来た群(G-PRr)の2群に分け,両群間における1年目と2年目以降の各指標を統計学的に比較した.
【結果】G-PRfが145例,G-PRrが93例であった.初診時においてG-PRfはG-PRrに比べ,有意に認知症治療率が高く,罹患年数が長く,合併症数が多く,抗CCP抗体価とRF値が高く,変形程度が大きく,日常生活能力が低く,PSが高かった.PS-VAS寛解群となるには初診時合併症数と治療1年目のSimplified Disease Activity Indexが有意の相関を示した.治療開始1年目から治療開始2年目以降へのPS-VASの上昇はPatient’s global Assessment(PGA)の上昇と相関していた.G-PRf群においては1年目から2年目にかけてQOL値が有意に低下した.
【結論】RA患者の疼痛は合併症数と疾患活動性管理とPGAが大きく影響し,患者の生活の質にも影響を及ぼす.