2020 年 32 巻 3 号 p. 181-185
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematous : SLE)をはじめとした膠原病は原因不明の全身性自己免疫性炎症性疾患である.従って各疾患においてgold standardが存在せず,多様な集団を形成することから分類基準(集団を対象)のみが作成・改訂されており,国際的な診断基準(個人を対象)は作られない.治療方針も診断と直結せず,重症度に応じて治療方針が決定される.重症度とは比較的短期的な予後不良の予測であり,当該時点における臓器障害の程度,当該時点における臓器障害の活動性,罹患臓器の生命や主要機能への寄与度,治療反応性の4つの要因から規定されると考えられる.活動性とは臓器障害の進行速度(時間微分値)と定義すれば理解しやすい.現在汎用されている臨床評価は一定の基準を満たしてはいるものの不十分な点が多く,今後は新規の画像検査やバイオマーカー,そして人工知能の活用により補完され向上することが期待される.