2020 年 32 巻 3 号 p. 201-209
目的:関節リウマチ(RA)患者における関節オーバーユースの発症状況とリスク因子を調査する.
方法:関節に負荷がかかるイベントの後に腫脹もしくは疼痛を生じた患者を関節オーバーユースと定義した.2016年8月から10月に当院外来を受診し関節オーバーユースと診断されたRA患者の患者背景,疾患活動性の変化を調査し,年齢,性別をマッチさせた123名のRA患者と比較しリスク因子を調査した.
結果:41名が関節オーバーユースと診断された.Clinical disease activity indexの中央値はオーバーユースにより5.0から9.0に上昇し,オーバーユース後には4.80に低下した.オーバーユースを発症する患者の背景因子をロジスティック回帰分析で検索したところ,生物学的製剤の使用,Health assessment questionnaire disability index(HAQ-DI)が低値であること,Steinbrocker Stage III, IVであること(各々Odds ratio 3.10, 95% confidence interval 1.24-7.76; 0.27(0.09-0.80); 5.90(2.28-15.2))が抽出された.
結論:生物学的製剤使用者,HAQ-DI低値患者,Stage進行患者はオーバーユースを発症しやすく,患者教育が重要となる可能性がある.