2020 年 32 巻 3 号 p. 210-219
【目的】当院における関節リウマチ(RA)患者へのリアムシノロン関節内注射(関注)の影響を後ろ向きに研究を行い,統計学的に検討した.
【方法】2014年4月より2019年3月までに行った関注に対し各関注前後の各臨床指標,疼痛指標をpaired T-testを用いて比較検討した.また,関注回数により患者を分類し,関注前後における臨床指標,疼痛指標,関節変形指標,骨塩量と各parameterの変化を回数分類によりANOVAを用いて比較検討した.
【結果】208名のRA患者に1,020回の関注を行った.男性45名,女性163名であり,平均年齢67.1歳であった.関注後1か月のsimplified disease activity scoreの全てのコンポーネントと疼痛VAS,が関注前と比べ1%未満の有意に減少した.1年後においても疾患活動性,mHAQ,疼痛VASが有意に低下していたが,modified Health Assessment Questionnaire(mHAQ)はいずれの時期も有意の減少は無かった.回数分類においては回数の多い群ほど有害事象は多い傾向があった.
【結論】関注は疾患活動性の制御,疼痛管理,日常生活動作改善に有用である.複数回関注による影響には検討の余地が残っている.