2020 年 32 巻 3 号 p. 220-227
背景:関節リウマチ(RA)患者の中には,救急疾患治療や各診療科の専門的治療のためにリウマチ科以外の診療科に入院する患者もいる.その際にはRA特有の生活環境整備,薬剤調整に介入を必要とする患者もいると思われるが,その実態は明らかではない.
目的:リウマチ科以外の診療科に入院するRA患者の数,および介入すべきRA特有の問題の有無について明らかにすること.
対象と方法:2018年11月からリウマチ科以外の診療科に入院しリハビリ科へ紹介されたRA患者を作業療法士が把握する取り組みを開始した.2019年5月までに入院したRA患者の背景,薬剤治療内容,リウマチ介入状況を調査した.
結果:リハビリ科に紹介された患者2,687名のうち51名(1.9%)のRA患者が把握された.平均年齢は75.8歳,女性が39名(76%)であった.58%は当院以外の施設でRA治療を受けていた.59%が救急入院で,39%が手術を施行された.メトトレキサートの使用が31%,生物学的製剤の使用が20%であった.13件(25%)の介入があり,リハビリに関するものが3件,薬剤に関するものが13件であった.
結論:リウマチ科以外の診療科に入院するRA患者の中には介入すべきRA特有の問題を抱えている患者もいる.作業療法士は,他職種と協力して生活環境整備とケアの調整に関して積極的に介入していかなければならない.