2020 年 32 巻 3 号 p. 228-237
【目的】カナキヌマブ(以下本剤)の長期投与時の安全性及び有効性の評価のため,日常診療下で本剤を使用した,既存治療で効果不十分な家族性地中海熱患者の全てを対象に製造販売後調査を実施中である.本稿では2016年12月の適応追加承認日からおよそ2年半後の中間集計成績を報告する.【対象・方法】2019年6月末までに調査票が固定された39例を安全性解析対象とし,有効性主要評価がなされた同39例を有効性解析対象症例とした.【結果】投与開始時の年齢の中央値は40歳で,MEFV遺伝子変異あり(Exon10領域以外)の非典型例が22例,変異あり(Exon10領域)の典型例が10例,変異なしの非典型例が5例,変異不明の典型例が2例であった.副作用発現割合は25.64%(10例)で,重篤な副作用の発現割合は10.26%(4例)(変形性関節症2例,憩室炎,ヘモジデリン沈着症,腸膀胱瘻,滑液包炎,滑液貯留,浮腫,疼痛各1例)であった.本調査で定義した有効例では,有効割合は20.51%(8/39例)であったが,16週時点で臨床的寛解を示した症例の割合は65.71%(23/35例),血清学的寛解を示した症例の割合は85.29%(29/34例)であった.【結論】今回の中間結果から,本剤の安全性及び有効性に新たな懸念は認められなかった.最終報告まで継続し,本剤の安全性及び有効性の評価を行う必要がある.