2020 年 32 巻 3 号 p. 245-250
関節リウマチ治療にバイオシミラーが使われるようになってきている.多くの臨床研究は先発の生物学的製剤からバイオシミラーに切り替えても効果や安全性に問題がないことを立証している.しかし,バイオシミラーから別のバイオシミラーに切り替えた研究は未だない.そこでエタネルセプトBS1(ETN-BS, 開発コード:LBEC0101)で12週以上治療しDAS28-CRPが寛解した症例102例を対象に,別のETN-BS2(開発コード:YLB113)に変更し12週以上経過した症例を解析した.その結果ETN-BSを別のETN-BSに変更しても寛解は維持された.しかし,9例で元のETN-BSに再変更を余儀なくされた.理由は針の刺入部痛6例,全身の掻痒感2例,針刺入部局所発赤1例であった.このことからバイオシミラー間で有効性に違いはないが,有害事象の出現に違いがあることが示された.バイオシミラーを他のバイオシミラーに切り替えるには注意が必要である.