2021 年 33 巻 4 号 p. 271-277
治療が困難なRA(Difficult t-to-treat rheumatoid arthritis; D2T RA)とは,数種類の治療を行っても症状が改善せず,患者および経済的負担が大きいRA患者を指す新しい概念である.欧州リウマチ学会議(EULAR)では(1)治療不成功の病歴があり,(2)活動性/症候性の特性を有し,(3)臨床的に認識されていること,の3つの基準がすべて揃うものをD2T RAとした.D2T RAはRA患者の5〜10%程度に発生するという報告が多く,患者は社会生活,労働能力,QOLに直接影響する症状に悩まされ続ける他,年間にかかる医療コストが非D2T RA患者より高額である.臨床的背景として,呼吸器障害,心血管系障害などの合併症,薬剤に対する有害事象,治療に対するアドヒアランスの低さの他,線維筋痛症や変形性関節症なとの疼痛症候群の合併,喫煙,肥満,抑うつなどが報告されている.治療にあたっては,患者教育,運動療法,心理学的介入,患者ケアの強化や医療従事者とのコミュニケーションの強化を基本として,個々の患者において過去の薬剤歴やmode of actionを考慮した薬剤選択や,整形外科的介入などによるカスタマイズを行って治療の最適化を図る必要がある.