臨床リウマチ
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原著
関節リウマチ患者の自然災害時の日常生活動作および避難行動の検討
定松 修一和田 周二田口 浩之小原 司森 涼子木本 国晴弓立 恭子永井 美緒水木 伸一
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2022 年 34 巻 1 号 p. 67-75

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抄録

【目的】関節リウマチ(RA)患者の自然災害時の被災環境における日常生活の現状,避難行動について明らかにすること.

【対象と方法】平成30年7月豪雨の被災地域に住所があり,平成30年4月~6月に松山赤十字病院リウマチ膠原病センターを受診したRA患者90名を対象とした.令和2年6月1日~30日にアンケートを郵送し,被災状況,避難行動,日常生活動作能力の変化について質問した.返信・同意のあった患者について,回答とリウマチ科受診時の臨床データを解析した.

【結果】60名より回答を得た(回収率67%).女性が82%,平均年齢は67歳,平均RA罹病期間は17年であった.被災・避難した患者は29名(48%)であった.被災時の生活について回答のあった25名のうち,何らかの動作ができにくくなったと回答したものは14名(56%)であり,災害前の機能障害度が高いことと関連していた(Mann-Whitney検定,p値<0.01).避難した患者は11名で,避難場所は親戚・知人宅が一般避難所より多かった.避難場所の環境は,63%で水道が使用不可で,25%は段差等で移動に不便を感じていた.また83%は避難場所において,運動をしなかったと回答した.

【結論】自然災害において,日常生活動作能力が悪化するRA患者は多い.避難場所の選択・あり方について,個々人の状態に合わせて検討しておかなければならない.

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© 2022 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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