2023 年 35 巻 1 号 p. 44-52
目的:関節リウマチ(RA)患者の手洗い状況を調査し,洗い残しに関連する要因を分析し,手洗い指導について検討する.
対象・方法:2021年7月から同年11月に当院入院中のRA患者55人(年齢69.7歳,男性8人,女性47人)を対象に,手洗いに関する質問紙調査及び手洗いチェッカーを用いた洗い残し調査を行い,手洗い状況,洗い残しに関連する患者の背景を調査した.
結果:手の洗い残し部位は,左右とも手背側の指間部で洗い残し(87%)が最も多く,次いで爪周囲(77%)が多い結果となった.洗い残しに関連する要因として,同居家族の有無と手の変形部位の数に有意性が認められた.両手の洗い残しスコアと年齢,罹患期間,生物学的製剤使用の有無,指導の有無,両手の握力,手のこわばり,Health Assessment Questionnaire(HAQ),Visual Analogue scale(VAS)を用いた肩・肘・手の疼痛評価との間には有意差はなかった.
結論:一人暮らしで手に変形があるRA患者に対して,作業療法士と協働して感染予防のための正しい手洗い手技の教育を進めていくことが必要であると考えられた.