【目的】治療抵抗性前段階の関節リウマチ(pre-D2T RA)患者における失敗の危険因子を特定し予防策を見出すことである.
【方法】Treat-to-target治療戦略を受けたRA患者を抽出した.D2T RAのEULAR定義に従って治療困難状態を判定し,D2T RA以前の状態を以下のように判定した.カテゴリー1(1種類の生物学的製剤またはJAK阻害剤の失敗により2剤目の作用の違う薬剤を投与)かつ2(中等度の疾患活動性,グルココルチコイド投与量がプレドニゾロン相当量で7.5mg以上,X線像での急速な進行,または生活の質スコアが半年で低下)と定義し,治療中に一致する患者を集め最初に一致した時をbaselineとした.結果は1年以上経過した時点での最終観察で決定した.患者が各カテゴリーから脱したら“success”,継続なら”failure”と判断した.患者背景における“failure”の危険因子と治療における観察項目をカテゴリーごとに評価した.対象群としてカテゴリー2に合致する患者も抽出し,危険因子などを検討した.
【結果】Pre-D2T RA患者47名と対象群の患者444名が対象となった.Pre-D2T RA患者では,有意な危険因子はsimplified disease activity score(SDAI)の高値と治療中の新たな糖質コルチコイド製剤(GCS)の処方であった(p < 0.05).対象群で有意な危険因子は治療期間を通じたmethotrexateの非処方とフォロー中のSDAIを含めた疾患のコントロールであった.
【結論】D2T RAの予防に最も重要な因子は厳格な疾患活動性制御であった.Pre-D2T RAにおけるGCS処方は避けるべきである.
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