2024 年 36 巻 2 号 p. 86-92
目的:ロコモティブシンドローム(ロコモ)を有する患者は日常生活に困難さを感じており,関節リウマチ(RA)はロコモのリスクが高いこと,骨格筋量指数(SMI)が低いことが報告されている.我々は,RA患者のロコモの把握とSMIとの関連について調査する.
対象・方法:膠原病リウマチセンター外来に通院しているRA患者160名を対象とした.ロコモの判定は,ロコモ25のスコアが16点以上をロコモあり群とした.SMIは,生体電気インピーダンス法を用いて測定し,男性7.0kg/m2未満,女性5.7kg/m2未満をSMI低値群とした.
結果:ロコモあり群は全体の38%に見られ,年齢も有意に高かった.SMI平均値は男性7.2±0.9kg/m2,女性5.6±0.9kg/m2,SMI低値群は全体の55%に認められた.ロコモあり・なしの間にはSMIの差がなく,SMIが正常でも39%はロコモありに該当した.ロコモありに関連する因子としてロコモ25の屋内動作,身の回り,不安の項目が抽出された.
結論:屋内動作能力・ADL能力の低下,転倒不安を有するRAは,ロコモに陥る可能性が高くなる.骨格筋量は影響しないが運動機能が低下するダイナペニアの存在が示唆された.