【目的】関節リウマチ(RA)患者におけるbaricitinib(BARI)及びfilgotinib(FIL)投与24週の臨床的有用性,安全性について比較検討した.
【方法】2017年9月から2023年2月までに当院と協力施設の2施設においてBARI及びFILの投与を開始し,24週間経時的に観察可能であったRA患者98例を対象とした.BARI投与群67例とFIL投与群31例に分け,Disease activity score-28 for RA with CRP(DAS28-CRP),Simplified Disease Activity Index(SDAI),リウマトイド因子(RF),matrix metalloproteinase-3(MMP-3)の推移を比較検討した.安全性の評価として有害事象を調査した.
【結果】BARI群,FIL群の順に投与開始時平均年齢69.2±13.0歳,64.6±13.9歳,平均罹病期間163.6±174.1か月,144.5±115.8か月であった.治療前b/tsDMARDs使用数は,それぞれ1剤19例,5例; 2剤7例,1例;3剤以上17例,19例であった.DAS28-CRP,SDAIのいずれも投与前と比して24週時において両群で統計学的に有意な改善を認めたが,両群間の変化率には有意差を認めなかった.RF,MMP-3は24週時に改善傾向を示した.継続率は,BARI群77.7%,FIL群74.2%であった.有害事象については,BARI群,FIL群それぞれ悪性腫瘍発生率3.0%,0%,帯状疱疹発生率1.5%,0%であり,その他の事象においても両群間に有意差を認めなかった.
【結論】RAに対するBARIおよびFILの臨床的有用性及び安全性において投与後24週では有効性に差は認めなかった.今後の更なる症例による検討が期待される.
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