2026 年 38 巻 2 号 p. 86-98
目的:高齢化過疎地域における関節リウマチ(RA)患者の実態を調査し,今後の地域における望ましいRA医療提供体制について検討する.
対象・方法:島根県内6つの医療機関のRA専門外来を受診しているRA患者を対象としてアンケート調査を行い,1,282人からの回答を解析した.
結果:平均年齢66.9才で65才以上が63.0%を占めていた.年齢とともに独居率は増加し,島根県内でも過疎地域である県西部で高く,同地域に住む80才以上の女性患者の32.0%は独居であった.高齢者の服薬コンプライアンスは良好であったが,指示どおり服薬できていない理由として副作用が怖いとの回答が多くみられた.主な交通手段は自家用車であったが,65才以上の女性では男性に比べて車を運転しない人の割合が著明に増えていた.体調を崩した時の受療行動の遅れに及ぼす要因として年齢層別解析において80才以上の高齢者では独居であることが関連する傾向があり,過疎地域である県西部に住んでいることなどが有意に関連していた.
結論:地域では専門医が極端に不足しており,患者の専門医療機関へのアクセシビリティは低下している.このことは,診断の遅れや体調を崩した時の受療行動の遅れにもつながり,地域での適切な医療の実践を困難にしている.今後は病診連携やオンライン診療を通じて,患者が居住している地域へ専門医療を広めていく体制づくりが重要である.