抄録
地震リスク解析は地震被災度を定量的に評価するもので,新たな耐震設計の枠組みを与える耐震技術として期待される。本研究では,まず上部構造物を対象とする地震リスク解析を,PhaseI~PhaseVにて構成される評価システムとして提示する。これを鉄筋コンクリート構造物へ適用することを目的とし,PhaseIV(EFM法による脆弱性評価)とPhaseV(地震リスク評価)について考察を行った。特に,プッシュオーバー解析から得られる構造情報とEFM法により地震時損傷評価を合理的に行うものである。次に,設計年代の異なる鉄道ラーメン高架橋に適用し,地震リスクの定量的な評価を行った。これにより,設計強度の差異や橋軸方向/直角方向の違いが算出され,金銭的な地震損失評価とリスク曲線の算定を行うことができた。