コンクリート工学論文集
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20 巻, 1 号
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  • 董 賀祥, 西村 正, 関 博
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1_1-1_13
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    合成短繊維の付着特性と補強マトリックスの曲げ特性に関して実験により検討を行った。曲げ特性では曲げ試験によって曲げ強度と曲げじん性係数を求め,また,繊維とマトリックスの付着特性は付着試験によって付着強度と付着じん性係数を求めた。実験結果により,マトリックスとの間に強いケミカル結合を有するビニロン繊維は付着強度が高く補強マトリックスの曲げ強度も高い値であったが,すべり量が増加するとケミカル結合が喪失し引抜き荷重の低下が大きくなるため,付着じん性係数や曲げじん性係数は低い値となった。一方,ポリエチレン・ポリプロピレン系のブレンドモノフィラメント繊維の付着強度は低いが,単位体積あたりの表面積が大きいために付着じん性係数は高くなり,補強マトリックスの曲げじん性係数も高い値であった。すなわち,繊維の付着特性が補強マトリックスの曲げ特性に影響を及ぼすことを明らかにした。
  • 黒田 泰弘, 菊地 俊文
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1_15-1_22
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,解体コンクリート中のセメント水和物の炭酸化によるCO2の固定について検討した。モルタル片およびコンクリート片を用いた曝露試験を行って,粒径や曝露条件がCO2の固定に及ぼす影響を調べ,粒径が小さく,乾湿を繰り返した場合に,CO2の固定が著しく速くなることを示した。また,複数の中間処理工場から入手した再生砕石RC40の試験結果より,コンクリート塊を破砕して得られた1tonのRC40が結果的に固定しているCO2量を11kg-CO2程度と推定した。この結果をもとに鉄筋コンクリートのLCCO2を試算すると,CO2の固定量を考慮した場合はしない場合に比べて5.5%程度LCCO2が小さくなり,LCCCO2を試算する場合には,解体コンクリートによるCO2の固定量を考慮した方が合理的なことがわかった。
  • 野々目 洋, 権代 由範, 藤井 真之, 菅原 隆
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1_23-1_32
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    水平面の湿潤養生に特化した,保水性に優れた湿潤養生マットを開発した。実構造物の状態に近い屋外に設置した供試体において湿潤養生マットを敷設し,散水養生を行った供試体や無養生の供試体と比較した表面の湿潤性向上,表層部の強度向上,表層部細孔構造の変化,耐久性向上等について検討を行った。その結果,開発した湿潤養生マットを敷設することにより,散水養生や無養生と比較して,表面相対湿度の増加,リバウンドハンマーによる反発度の向上,表面より0mm~10mmの深度における総細孔量の減少と細孔径の微少化,凍結融解抵抗性の向上の効果が得られることが分かった。
  • 吉川 弘道, 大滝 健, 服部 尚道, 野口 聡, 奥村 幹也
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1_33-1_43
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    地震リスク解析は地震被災度を定量的に評価するもので,新たな耐震設計の枠組みを与える耐震技術として期待される。本研究では,まず上部構造物を対象とする地震リスク解析を,PhaseI~PhaseVにて構成される評価システムとして提示する。これを鉄筋コンクリート構造物へ適用することを目的とし,PhaseIV(EFM法による脆弱性評価)とPhaseV(地震リスク評価)について考察を行った。特に,プッシュオーバー解析から得られる構造情報とEFM法により地震時損傷評価を合理的に行うものである。次に,設計年代の異なる鉄道ラーメン高架橋に適用し,地震リスクの定量的な評価を行った。これにより,設計強度の差異や橋軸方向/直角方向の違いが算出され,金銭的な地震損失評価とリスク曲線の算定を行うことができた。
  • 大代 武志, 鳥居 和之
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1_45-1_57
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,金沢大学が平成2年度と18年度の2回にわたり実施した,富山県内のアルカリシリカ反応(ASR)が発生した27橋梁の実態調査の結果に基づき,ASR劣化による橋梁の経年変化と補修・補強の効果を検証するとともに,ASR劣化橋梁で使用された河川産骨材の岩石・鉱物学的特徴より,富山県のASR劣化橋梁の河川水系ごとの地域的な区分とASR劣化度による対策の階層化を試みたものである。さらに,富山県のASR劣化橋梁にて実施した対策の問題点を明確にすることにより,富山県の反応性骨材に対応したASR抑制対策とASR劣化橋梁の維持管理への提言を行ったものである。
  • 権代 由範, 庄谷 征美, 月永 洋一, 子田 康弘
    2009 年 20 巻 1 号 p. 1_59-1_70
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    我が国では,スケーリング抵抗性の評価試験法として,海外規格を準用した方法や独自設定した方法が混在しており,基準となる方法は定められていない。そこで本研究では,我が国で準用される海外規格からASTM C672法およびRILEM CDF法を対象とし,各々の試験方法の相違がスケーリングの発生性状に及ぼす影響について検討を行った。その結果,両試験法におけるスケーリング量およびその変動係数には相違が生じることが確認され,主にスケーリング量の相違には,試験溶液の供給方法の違いが大きく影響することが示唆された。また,スケーリング速度の経時的推移について検討した結果,両試験法間に生じるスケーリング量の相違や水セメント比毎に生じるスケーリング量の相違は,概ね凍結融解試験開始初期のスケーリングの発生量に支配される様相が認められた。
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