抄録
測定原理および測定空隙径が大きく異なる水銀圧入法と画像解析法によって評価されるセメントペーストの空隙構造の特徴の対応性を検討した。パーコレーションしきい値と有効空隙率を水銀圧入曲線から決定し,Katz-Thompson式の各因子と画像解析法により求めた粗大毛細管空隙率の相関性を明らかにした。粗大毛細管空隙率は有効空隙率と正の相関を有し,特に有効空隙率をしきい空隙径から定めると,相関性はより明確となった。また,粗大毛細管空隙率だけで系のパーコレーションしきい値を上回るようになると,伝導経路となる空隙の連続性は大きく変化する。これらは粗大毛細管空隙が連続経路の主枝であり,系の伝導性を代表することを示していると考えられる。