2016 年 27 巻 p. 67-76
本研究は,大気圧下での実験においてセメント硬化体に吸着した水分の潜熱の含水率依存性を明らかにするとともに,吸着等温線モデルを利用した潜熱推定モデルを提案することを目的としたものである。実験では,温度変化に応じた水蒸気圧の変化を計測可能なシステムを考案作成し,Van't Hoffプロットを利用して潜熱を評価した。潜熱の値は含水率の低下にともなって増加する傾向を示し,特に,含水率が15[%]以下においては顕著に増加する傾向が確認された。提案した潜熱推定モデルは実験結果の基本的傾向を表現することが可能であり,潜熱の含水率依存性を表現する構成則としての利用が期待されることを示唆した。