2017 年 28 巻 p. 123-131
DFRCCの引張特性のばらつきの評価を目的として,マトリックス内の繊維分散を考慮した引張応力-ひび割れ幅関係(架橋則)の構築を試みた。ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)を用いた繊維の可視化実験で得られた繊維撮影画像を基に繊維の分散性をポアソン分布で評価し,架橋則へ導入した。モンテカルロ・シミュレーションによりポアソン分布に基づいた分散性を与え,架橋則における最大引張応力(架橋強度)のばらつきを確認した。さらに,それらの架橋則をトリリニアモデルに変換して断面解析を行い,PVA繊維を用いたDFRCCの4点曲げ載荷試験結果と比較した結果,繊維の分散性に起因する強度のばらつきを推定できる可能性を示した。