積雪寒冷地で長期供用された鉄筋コンクリート開水路の側壁気中部では,白色析出物により閉塞した気泡およびひび割れが存在することが既往の研究により明らかになっている。本研究では,開水路の側壁気中部からコアを採取し,気泡およびひび割れを閉塞している析出物を特定するための微視的検討を行った。EPMAによる元素の面分析により気泡およびひび割れが析出物で閉塞していることを確認した後,SEMおよびEDX,XRDによる結果から析出物がエトリンガイトであることを明らかにした。また,気泡およびひび割れにエトリンガイトが生成したのは,ひび割れ周囲からのカルシウムイオンの溶脱と炭酸化領域からの硫酸イオンの移動が関係していると推察した。