2023 年 34 巻 p. 61-69
本研究は,従来の耐震補強工法では施工が困難な立地条件にある既設鉄筋コンクリート橋脚を対象とし,せん断耐力の向上を目的とした補強工法の開発を目的としている。これまで背面を地盤に接する地中構造物等では,構造上の制約条件から部材の片側からのみの補強施工が可能となるあと施工型のせん断補強工法が開発されてきたが,道路橋の鉄筋コンクリート橋脚における検証事例は少ない。今回,鉄筋コンクリート橋脚を模したRC柱試験体に対する水平方向の正負交番載荷試験を行い,変形特性と損傷状況等からあと施工型せん断補強鉄筋の補強効果を検証し,あと施工型せん断補強鉄筋はRC柱試験体においてもせん断補強効果が発揮されるが,変形性能には補強効果が確認されなかったことを報告する。