2024 年 35 巻 p. 13-23
3Dプリンティング技術によるコンクリート構造物の構築においては,造形に起因する強度の異方性が広く知られている。積層構造の特徴である積層界面および残存空隙の形成および破壊進展挙動には,積層経路が影響を及ぼすと考えられる。本論文では,積層経路の異なるモルタル積層体において,圧縮,引張および曲げ応力下における破壊進展挙動を評価した。特に,圧縮載荷時にX線CT法による内部構造の観察,3Dスキャンによる変形分布の評価を行った。引張および曲げ応力下では,デジタル画像相関法によって,積層経路の違いが破壊進展挙動に及ぼす影響を評価した。その結果,積層経路に依存する残存空隙構造の形成に基づく破壊進展挙動を明らかにした。