本研究では,各種固形パラフィンのうち,石油由来のものが凍結融解抵抗性の向上に有効であることを確認できたことから,その水和反応に及ぼす影響を確認し,施工工程により空気量が減少したことを想定したコンクリートにおいて,凍結融解抵抗性および凍害と塩害の複合劣化抵抗性における固形パラフィンの効果を検討した。検討の結果,石油由来の固形パラフィンの混和は,セメントの水和反応に影響を及ぼさないこと,塩化物イオン供給環境下においても凍結融解による相対動弾性係数の低下は認められないことを確認した。凍結融解抵抗性向上の機構は,混和した固形パラフィンが200μm以下の集合体として存在し,見かけの気泡間隔係数が小さくなること,および毛細管空隙の連続性を遮断した効果によると推察された。