2025 年 36 巻 p. 37-47
福島第一原子力発電所の汚染水処理で発生する除染装置スラッジをアルカリ活性材料(AAM)で固化処理可能か検討するために,模擬物として硫酸バリウム(BS)とヘキサシアニドコバルト鉄酸カリウム(FCN)をAAMで固化した。既往の研究を参照しつつ物性の良否に対する判定基準を設定し,これを満たす「適切な配合」を探索した。先ず,H2O/母材比とSi/Al比とNa/Si比をパラメータとして固化体を作製した。メタカオリンと高炉スラグの混合物を母材としてBSを固化した系で「適切な配合」が見つかり,混練溶液の最適濃度(適切な液相組成)を2種類抽出した。次に,混練溶液を「適切な液相組成」に固定し,BS量と水量またはBS+FCN量と水量をパラメータとして「適切な配合」の範囲を明らかにした。BS系よりもBS+FCN系は固化可能な模擬物量が多かった。